42.波を観る-波浪、津波、高潮、GPS海洋ブイ、沿岸波浪計-

 一般財団法人沿岸技術研究センターは、1998年4月に自主研究として「海象観測データの解析・活用などに関する研究会」を立ち上げ、研究会活動の成果として、2001年3月に“波を測る”を、2002年3月に“潮位を測る”を刊行しました。これらの図書は2002年5月に(社)日本港湾協会の論文賞を受賞し、海象情報に係わる実務者や次世代の技術者の育成に貢献してきました。(以下これらの図書を前報と呼びます。)

 前報の刊行から、はや10年以上が経過しましたが、この間に、海象観測情報をめぐる状況は大きく変化しました。東日本大震災をふまえて、沿岸防災活動や海洋エネルギーの有効活用などの新たな海域利用活動が展開されつつある中で、沿岸域の地域社会が真に必要とする、より高度化された海象観測データを有効活用した情報発信が求められています。他方、海象観測の内容は質的・量的に充実されてきました。すなわち、これまでは困難であった大水深海域における波浪から津波・潮汐に至る広い周期領域における海象観測を実現させたGPS海洋ブイが開発・実用化されるとともに、国土交通省港湾局及び地方整備局等によって運用されている全国港湾海洋波浪情報網(以下、ナウファスと呼びます。)のGPS波浪計や海象計は、全国沿岸に設置され、ホームページを通じたリアルタイム海象観測情報の常時発信を行っています。

 こうした背景をふまえ、沿岸技術研究センターは2012年10月に、「新しい海象観測データの解析・活用などに関する研究会」を再開し、前報の追記・改訂を行い、こうした状況変化をふまえた新たなテキストの作成に取り組むこととなりました。

 本書は、髙山知司京都大学名誉教授をはじめとした港湾空港技術研究所や大学等における第一線の海象研究者と、企業の第一線で海象観測や情報活用を担当されている技術者が、それぞれの貴重な知見やデータを持ち寄って、完成させたものです。

 海象観測にあたっては、GPS海洋ブイや沿岸波浪計などの観測装置が高価であるために、しばしば、観測装置だけに高い関心が寄せられ、肝心な観測情報に関する視点が欠落してしまう事例が多く見られます。本書によって、海象観測や観測情報の解析・管理・活用などに対して正しい認識が広がり、観測情報がより一層有効活用されるようになっていくことを、願ってやみません。

 海象観測・海象情報に携わる技術者の方々にとって、本マニュアルが有効に活用されるものと確信しております。

 最後に本マニュアルをまとめるにあたり、熱心にご討議・検討していただきました「新しい海象観測データの解析・活用などに関する研究会」の皆様に心よりお礼申し上げます。

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  平成 25 年3月発刊 A5 / 318ページ  3,300円 (税込)
(本体3,000円+消費税300円)
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