32.管中混合固化処理工法技術マニュアル(改訂版)
港湾工事においては、航路や泊地の増深、あるいは水深確保などを目的とした浚渫
工事により、大量の浚渫土が発生し、その処分地の確保が大きな課題となっております。
そのため、最近では、浚渫土をリサイクル利用する研究が実用化されてきております。
浚渫土の多くは通常含水比の高い、軟弱な粘性土(軟質土)であるため、固化材を混合
して、十分な強度を持つ高品質の材料に改良して利用することが行われています。
管中混合固化処理工法は、空気圧送中の管内に固化材を注入し、圧送管内で発生する
プラグ流による乱流効果を利用して、浚渫土と固化材を撹拌混合するもので、平成9年度
以降、大量急速施工、およびコスト縮減の可能性を追求するために、実用化が進められ
てきました。
また、平成10年、11年度には、名古屋港において大規模急速施工のための実海域実証
実験、および追跡調査が行われ、その成果に基づき、管中混合固化処理工法に関する多
くの技術的知見が得られました。そこで、財団法人沿岸開発技術研究センターでは、平成
13年6月に、これまでの知見や研究成果、および現地での実績をもとに、沿岸開発技術ラ
イブラリNo.11として、「管中混合固化処理工法技術マニュアル」を発刊しました。
管中混合固化処理工法の設計・施工には、本マニュアルが活用されてきましたが、中
部国際空港空港島造成工事をはじめ、平成13年以降の新たな知見を反映させるとともに、
平成19年に改定された「港湾の施設の技術上の基準・同解説」で定められた性能規定化
に合わせる目的で、この度、財団法人沿岸技術研究センターでは、社団法人日本埋立浚
渫協会との共同研究により、本マニュアルを改訂することとしました。
管中混合固化処理工法の設計・施工に携わる技術者の方々にとって、この工法の適用
にあたり、本マニュアルが引き続き、有効に活用されるものと確信いたしております。