30.CADMAS-SURF 実務計算事例集
海洋構造物の耐波設計を行う際、従来から水理模型実験やそれを基にした設計公式が用いられてきました。水理模型実験を行うには多くの費用と時間が必要であり、設計公式は条件によって精度に問題があります。
そこで、これらに替わる方法として、波動現象を自由表面を有する流体運動と位置づけ、その自由表面の運動をコンピューター上で精度よく追跡できる手法として開発されたVOF(Volume of Fluid)法に着目し、平成10年から官・学・民からなる研究会を設置し、様々なケースについて耐波設計への適用を試み、数値計算法(数値波動水路)の開発を行いました。
その後、研究会では、プログラムの精度向上及びプログラムの更なる普及を目的に議論・検討を重ね、プログラムのバージョンアップ、不規則波の入力方法の整備、各種構造物への越波・伝達波・波力の計算事例の整備を行ってきました。このたび、これらの研究成果を多くの方々に活用していただくために、「CADMAS-SURF実務計算事例集」として刊行することになりました。
本書は、計算を始めるにあたっての留意事項、不規則波の造波方法とその留意点、越波計算・波力計算の作業手順と留意点、計算事例(波の伝播、越波、波力)で構成されており、巻末には、最新のCADMAS-SURF(V5.1)プログラム、描画プログラム、計算事例入力データも添付しました。本書を参考にしていただくことにより、海洋構造物の設計・研究に携わる方々が、より身近にCADMAS- SURFプログラムを活用していただけるものと確信しています。