29.海上工事における深層混合処理工法技術マニュアル(改訂版)
近年、港湾施設の大型化、あるいは軟弱地盤が厚く堆積している地域での施工にともない、地盤の改良深度が増大し、一方、浚渫土の処分についてもより万全な環境保全が求められています。
こうした背景のもと、深層混合処理工法(CDM工法)は、大水深、大深度への適用性が高く、省資源かつ環境負荷の影響が少ない地盤改良工法として、各地の港湾構造物の基礎改良に多くの実績があります。本工法は安定剤としてセメントまたはセメント系固化剤を軟弱地盤中に添加、攪拌混合することにより化学的な反応を利用し、強固な安定処理土を形成する優れた工法です。
本工法はその誕生以来すでに30年近くが経緯し、港湾方面での実績の他、陸上域での盛土の安定・沈下対策、液状化対策等にも幅広く用いられ、様々な地盤改良技術の向上が図られてきました。
一方、平成19年度改正された「港湾の施設の技術上の基準」は、技術革新に柔軟に対応できるように性能設計が導入されました。
本マニュアルの改訂にあたっては、この技術基準の改正を受け、CDM改良地盤における照査用震度の算定法、永続状態およびレベル1地震動に関する変動状態に対する信頼性設計法による照査を新たに追加するとともに、これまでに得られた多くの実験的・解析的研究成果や現地の実績から得られた知見を紹介しています。
本マニュアルは、「港湾の施設の技術上の基準・同解説」(日本港湾協会、平成19年9月発刊)の参考図書として紹介されています。CDM工法の設計・施工に携わる技術者の方々が有効に活用されるものと確信しております。