23.港湾における可動橋の構造計画マニュアル
近年、港湾物流の高度化、効率化に向けて、港湾施設の経済的な整備、および効率的で安定した運用が求められています。そのためには、ふ頭施設など直接的に荷役に関与する港湾施設だけでなく、背後地域との円滑な連絡を図るための臨港道路の整備も重要となります。
可動橋は、小型船舶の航行が可能な桁下空間を常時確保し、大型船舶航行時には、橋体を動かす(昇開、跳回、旋回)もので、固定橋と比較して構造規模を小さくすることができます。そのため、初期投資を抑え、運用コストや維持コストを含めたいわゆるライフサイクルコストにおいても有利な構造となる可能性があります。
しかし、このような特徴を有する可動橋は、欧州や米国を中心とする海外でこそ古くから建設・運用され、可動支間が100mを越す事例も数多く存在するものの、我が国においては事例も少なく、また規模も小さいのが現実です。
このような状況を踏まえ、(財)沿岸技術研究センターでは、平成9年度より長大可動橋研究会を設置し、平成12年、14年の海外調査を含め国内外の事例調査を行うとともに、技術検討および運用方法やその計画手順の検討を実施してきました。このような研究の成果の集大成として「港湾における可動橋の構造計画マニュアル」を発刊することとなりました。本マニュアルは、可動橋を検討するにあたって必要な基本的な情報、計画手法、構造・設備、施工および運用・維持管理方法などを示したものです。
今後、臨港道路を計画、設計する方々にとって、本マニュアルが手引きとなり、可動橋がその候補としてとりあげられ、普及することとなれば幸いです。
また、本マニュアルには付録としてDVDを添付しています。このDVDには、現地調査を行った際の可動橋の開閉の状況や周囲の交通状況などを撮影した写真や動画を収録しています。本マニュアルと合わせて、計画の際の一助となることを期待しています。