21.港内長周期波影響評価マニュアル

長周期波は周期の長い(数十秒~数分)海面変動で,目視で捉えることが難しいため,通常波浪(風波・うねり)に比べ,研究対象としての歴史は浅いです。しかし,主に外洋に面した港湾において,大きな波高を伴う擾乱が無いにもかかわらず,係留中の大型船舶が大きく動揺し,荷役作業の中断,係留索の切断,防舷材ならびに船体の損傷などが発生する事例が従来より報告されています。現地における波浪観測やこれらの事例に基づく解析結果から,このような現象の多くが長周期波によるものであることが近年明らかになってきています。このような問題が指摘される港湾において,安全な作業環境を保持し,荷役作業の定時性を高めること,あるいは,船舶係留や荷役作業の障害に起因する荷役コストの上昇を抑制することが利用者サービスの基本であり,その早期解消が強く求められています。
本マニュアルは、(独)港湾空港技術研究所の研究者等が作成した資料に基づき,海岸工学・船舶工学分野の学識経験者並びに国土交通省関係者等により構成される「港内長周期波影響評価マニュアル検討委員会」を(財)沿岸技術研究センター(当時)に設置して審議され,広く活用されることを目指し取りまとめたものです。本マニュアルはこれまでの知見に基づき,長周期波に起因する課題に直面している港湾,あるいは想定される港湾における対策に資するため,長周期波の特性を概説し,観測および解析の手法から,予測法,変形計算法,船舶の動揺評価法ならびに対策に至るまで,その要点を取りまとめたものです。付録には荷役稼働率の計算例を収め、実務者により理解されやすいマニュアルとなっており、広く港湾の発展に貢献するものと確信します。

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  平成 16 年8月発刊 A4 / 109ページ  5,238円 (税込)
(本体4,762円+消費税476円)
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